コラム

エビデンスはなぜ必要なのか


メカニズムにおける「正しさ」の限界

人体のメカニズムを生物科学的に理解しようとする考えは、もちろん現代においても大事にされています。
 
ですが、徐々にこのような形での人体の理解が進んでくると、逆に「実際やってみないとわからない」という事態も増えてきたのです。
 
人体のメカニズムはあまりに複雑で、細かく見ていくと人によって大きな違いがあったりもします。ですから、生理学的な理屈上では上手くはずの治療が全く効果を示さなかったり、あるいはかえって治療をしたばっかりに悪化してしまうこともあります。
 
医学とは「科学であると同時にアートである」と言う人もいますが、こうした「実際にやってみないとわからない」部分については、専門家の長年の経験と勘をどうしても欠かすことができなかったのです。