コラム

エビデンスはなぜ必要なのか


エビデンスで「経験と勘」を共有する

「経験と勘」による正しさを身につけるためには、個人的なセンスと長年の経験の双方を要求します。また、仮にどちらの治療が良いか議論が分かれた時に、「私の経験では」「いいや私の直感では」と話していたのでは、いつまで経っても答えが出せません。
 
そこで、「経験」を客観的なデータとして、そして「直感」の代わりに統計学的な分析結果を使って、誰でも平等に建設的な議論を行えるようにしたものがエビデンスの意義です。
 
「経験と勘」の正しさだけでは、最終的にヒポクラテスの古典と同じように「偉い先生が言っていたから」と従うしかありませんが、エビデンスを正しく読み解けるようになれば、誰でも「今、世界で一番正しい判断は何か?」と考えられるようになるのです。

そして「エビデンスという武器」を私たちが手に入れ、広くコミュニケーションを行うことで、保健医療の現場や、一人一人の生活の場といった、社会の至るところにある「健康に関わる正しい判断」を増やし、健康な社会を構築していくことを、ヘルスコミュニケーションは目指しています。