セッション(2日目)
③健康学習を活用した事業展開の可能性

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テーマ

健康学習を活用した事業展開の可能性

コーディネーター

山口幹生(山口商店)

サブコーディネーター

安川修平(サラウンド)
上條聖一(池の平ホテル&リゾーツ)

内容

いまや「健康」は、世界経済の重要なテーマの1つとなりました。健康学習のエッセンスは事業への活用としてどのような可能性があるのか。2つの最新事例「ホテル宿泊客の皆さま向け健康プログラムの展開事例」と「小売り企業の従業員の皆さま向け健康習慣獲得プログラムの導入事例」をご紹介しながら、現場で取り組んできたメンバーとセッションに参加いただく皆さんとでその可能性について模索したいと思います。

レポート

■セッションの目的と概要

「健康学習のエッセンスを、保健医療の分野を超えて経営や事業の分野でどのように活用できるか」について研究・実践してきた内容を、セッション参加者の皆様に事例を交えて共有するともに今後の活用可能性を探ることが本セッションの目的でした。  健康教育の進展と健康学習の重要性増加という構図は、経営の現場で今まさに起こっていることだと感じます。つまり、世の中に情報があふれ、経営に関する知識を習得することが容易になるにつれて、従来は経営の戦略やノウハウおよび人材育成が重要視されていたのに対し、今はその会社が・そこで働く人が、どういう未来を創っていきたいのか、どういう社会と付き合っていきたいのかという目的意識や多様性を中心に経営をするべきだという論調が強くなっています。Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏が行ったハーバード大学卒業生への講演においても、「皆さんは、皆さん自身の人生の目的を持つだけでは不十分で、誰もが目的意識を持てる社会を一緒に創りましょう」と語っているのも一例です。
しかし、日々の仕事では目的よりも結果、未来よりも現実に追われがちになるのは、誰でも同じだと思います。毎日の繰り返しの中で、経営や事業が目的を持ち続けるためには何が必要か、その従業員が自分の目的を持ち続けるための施策は何が重要か、また外部から改善の働きかけを行う立場の場合にどのようなコミュニケーションを行うことが有効か、そのようなことについて参加者の皆様に振り返っていただき、またロールプレイを通じて気づきを得ていただくセッションでした。

 

■セッションの概要

まず、健康学習に関する知識を揃えるために、前日までに学んだ健康学習のエッセンスを振り返っていただき、それをグループごとに共有いただきました。学会に参加された方の約半数は初めて学会に参加される方でしたので、グループの中の方からも健康学習について学ぶ機会がとても重要だと思っています。
次に、健康学習の中で、私自身が多くの分野で活用できると考えている「自己紹介を振り返る」プロセスを実践しました。表面的な質問だけをしていても相手からは何も引き出せない、一方で最初から自分の思いを相手に伝えたり相手の本音を引き出そうとしたりすると警戒されてしまう。それに対して、(1) 相手との共通点を探しだすような質問を投げかけ、(2) 共通する点について会話を膨らませて、(3) 少しずつ相手の本音や思いを引き出すために深い質問を投げかけていく、その3段階のプロセスを、ロールプレイを活用して実践しました。
次に、セッションの本題に移行するために、シンプルなフレームワークを用いて、皆さん自身の仕事について整理いただくために紙に書いていただきました。内容は、あなたが日々取り組んでいる仕事は「誰の」「どんな思いに対して」「どんな資源を用いて」「何を行っていますか」「また、それはなんのために行っていますか(会社として、個人として)」というものです。これを、サブコーディネーターの安川さんが取り組む地方関係や健康保健関係の事例や、上條さんが行う池の平リゾートでの健康プログラムの実践の例を通じて、実際に落とし込んでいきました。
最後が本セッションの本題である、その内容について自分自身が振り返るとともに、その内容についてペアになって、コミュニケーションのロールプレイを行いました。「あなたの仕事は、本当は誰のためにやっているのですか」「この人のニーズはほんとうにこれなんですか」「あなたは何のためにその仕事を行っているのですか」。そのような質問を相手に対して行うロールプレイとともに、自分自身に対して自問自答する実践を行いました。

 

■セッション後の感想

多くの参加者の方から、とても発見の多かったセッションだと言っていただけて嬉しく思いました。また、多くの方が「自分が所属する組織が、また自分自身が、何のためにその事業や仕事を行っているのか」について言語化できない、または誰かに与えられた言葉をコピーしているにすぎない方が多くみられたのも印象的でした。目的については、すぐに書けるようになるものではないと思っています。今後も、本セッションで扱ったテーマについては研究を進め、誰でも使いやすいフレームワークに進化させていくことが求められていることもよくわかり、私自身としてもとても有意義なセッションでした。

 

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